材料には様々な野菜が使われ、発酵食品なら微生物の働きも注目される漬物。生野菜との比較や塩分の問題など、健康という切り口で漬物の栄養成分について調べた結果を紹介します。
微生物の有無による発酵漬物と無発酵漬物の違い
発酵食品=身体にイイ。
こうしたイメージを持つヒトも多いと思いますが、漬物すべてが発酵食品というわけではありません。漬物の中でも乳酸菌の働きによる善玉菌が含まれるものが発酵漬物で、菌の働きによらない無発酵漬物もあります。
発酵漬物の植物性乳酸菌は生きたまま腸に届く可能性が高い
乳酸菌といえばヨーグルトなど乳製品に含まれる菌として知られていて、これらは動物性乳酸菌に分類されます。動物性乳酸菌の大半は胃酸で死んでしまうものの、それらは元々腸内にいる善玉菌の養分となるため、身体にイイといえるわけです。
一方、発酵漬物に含まれる植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌よりも酸に強い特性があり、生きたまま腸に届く可能性が高いのがポイント。植物性乳酸菌が腸に届くと、腸内が酸性化するため酸に弱い悪玉菌の抑制になります。
発酵漬物で注目したい3つの栄養成分
原料の野菜に含まれる栄養成分は別として、発酵漬物ならではの栄養成分を3つピックアップします。
- 微生物がビタミンB群を増やしてダイエットや疲労回復をサポート
- 生野菜より水分が減って植物繊維が摂りやすくなる
- 乳酸菌には、ストレス軽減にも役立つアミノ酸、GABAが含まれる
梅干や浅漬などは無発酵漬物?
梅干や酢漬など漬ける過程で発酵させない漬物は無発酵漬物。無発酵漬物には発酵に伴う乳酸菌は含まれませんが、梅干にはクエン酸などの有機酸やミネラルが豊富に含まれるように、無発酵漬物ならではの多様な栄養成分を摂ることができます。
また、漬ける期間が短い市販の浅漬は調味液に漬けたものが主流で、衛生管理という意味ではむしろ菌が発生しないよう生産・流通管理されているようです。
漬物を食べ過ぎると塩分過多になる?
元々は長期保存を目的とした漬物だけに、かつては塩分濃度10%を超えるのが主流でもありました。ただし、ヘルシー志向の現代においては漬物も低塩分化が進行。塩分濃度を5%以下に抑えることで、塩味よりも素材の味わいを重視するのがスタンダードとなっています。
参考データとして、愛知県漬物協会青年会が調べた1960年と1999年の「漬物の塩分含量の変化」をまとめた表を引用しておきます。
種類 | 1960年 | 1999年 |
---|---|---|
梅干 | 約20% | 約8% |
福神漬 | 10~10.5% | 5~5.2% |
キムチ | 4% | 2% |
守口漬 | 8~9% | 4~5% |
たくあん | 12~14% | 4~5% |
参考としたサイト
- 漬物と乳酸菌|昔ながらの漬物屋 樽の味
- 漬物と健康を考える|愛知県漬物協会
- 漬物が体にいい理由を知ろう|NHK
- 漬け物は健康食品|新進
- 漬物のあれこれ。発酵食品とそうでない漬物~メリット・デメリットを理解してお好みで楽しんで!|TRINITY
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